犬との信頼関係を築くには?(その 3)

IMG_1190 引き続き、犬との「信頼関係」の築く方法。前後の 2回にまとめる予定だったのだが、秋田犬との信頼関係を築くために僕自身が意図的に実行していた出来事を順に振り返っていたら、想像以上に長くなってしまった。
 これから述べる事は、あくまでも「僕」と「小町」との間にあった、僕自身の体験であり、全ての人と犬の場合に当てはまるモノではない。あくまでも個々の関係はケースバイケースで異なり、仮に全く同じ様に実行したとしても反応は異なる。結果に対する責任は負えないので、その点あらかじめご承知おき下さるよう、お願いする。

 秋田犬は、家庭犬としての基本的な躾など何もされていなかったので、食餌の際に「お座り」「伏せ」「待て」を指導した。横で「アリス」が手本を示すから、渋々ではあったけれど 1週間くらいで従うようになった。
 当初は食餌の時以外では言う事を聞かなかったし、餌が無くても出来るようになるまでには 4 〜 5ヶ月ほど時間を要した。

 食餌の時だけは大人しく従うけれど、それ以外の時は体を触ろうとするだけでも、唸るのを止めなかった。それを無視して、頭や体を撫でていたけれど、しばらくは大人しく我慢してても、すぐに逃げ距離をとっていた。
 さすがに 1週間、食餌は要求するくせに触ろうとするだけで唸るのを止めなかったので、とうとう僕の方が怒った。咬まれる危険性を回避するために、先ず唸る口元を手で押さえ、力づくでひっくり返して腹を撫でた。

 これは、引き取った当初は、秋田犬の体が、わずか 18kgと酷く痩せて軽かったのもあるが、僕自身が男性で、暴れる体を抱えて腹を上にひっくり返すくらいの腕力があったからである。
 さすがの秋田犬も強制的に腹を触られたのにはショックだったらしい。その日からは僕に対して唸るのを止めた。とりあえず僕には逆らうのはマズイと思ったらしく、それからは借りてきたネコみたいに大人しくなったのである。

 勿論、いきなりこんな事をすれば、気の弱い性格の犬であれば、大きなトラウマとなる可能性はある。秋田犬の性格が、用心深い上に唸るのを止めないような「我の強い性格」だったからこそ、強制的で高圧的な行動が取れたわけであるが、当然、その前に丸々 1週間、僕の方も秋田犬の様子を観察して、そうする事が可能かどうかを判断していたわけだ。
 我が家という「群れ」の様子を伺っていた秋田犬が自己主張を始める前の段階で、まだ秋田犬自身が、我が家という群れのルールを学んでいる最中だった時期だからこそ可能だった。僕という「群れのリーダー」らしき存在に対して頑なまでに反抗していない状態だから、面と向かって歯向かったりしなかったわけである。

 もう少し遅い時期であれば「唸る」と「触るのを止める」=「秋田犬を怖がっている」という理由付けが確定され、秋田犬は自分のほうが強いと判断し「群れのリーダー」の地位を奪おうと僕に挑戦してきただろう。犬でも誰でも「勝てる」と踏んだなら喧嘩もするが、負けると判っている戦には手をださないものである。
 これは犬に限らず動物なら皆、同じ。誰でも怪我するのは嫌なのだ。狩りをする動物であれば、無意識の記憶の中に「怪我」 =「 獲物が取れなくて自分が飢えて死ぬ」という認識を持っている。

 これで、僕が怖がっていたわけではなく、秋田犬の「唸る」=「触られるのは嫌」というの気持ちを判ってくれていた。=「自分の気持ちを優先してくれていた」=「自分を見ていてくれた」という認識に変わる。
 ここで初めて秋田犬だけが「群れ」という様子を伺っていたわけではなく、受け入れを決めた「群れ」を率いるリーダの方も自分自身の様子を伺っていたを認識するわけである。

 秋田犬が、僕という存在を「我が家という群れ」の中では「リーダー」であり、僕により「居場所を与えられている」と認めた後は、今度は、僕の気を引く行動を取ろうとし始める。具体的には、先住犬のアリスに向けた愛情や注目を奪おうとする。
 先にアリスを撫でようとすると、その間に大きな躰を割って入れてくるし、アリスの体にある手を口を使って自分の体の方へ導こうとする。リーダーと認めたからこそ、突然、甘え始めるわけである。

 アリスの方も負けずに同じ行動を取るから、片手づつ両方の犬の体を撫でたり抱いたりする事になる。一人の飼主に与えられた両手では、多頭飼いでも 2匹までしか相手にできないと痛感した出来事でもある。
 愛情を独り占めしようと努力しても、僕とアリスの関係は揺るがない。何事にもアリスが優先である事が変わらないならば、次に秋田犬が取る行動は、我が家という群れの中で、アリスよりも上位になろうとすることである。

 さて秋田犬と、先住犬である「アリス」との権威争いではあるが、そのまま犬同士に任せていれば、体格的にも体力的にも一方的に「アリス」が負けてしまうのは目に見えていたし、事実、負けていた。
 ある意味において「群れ」とはチームである。チームの中ではリーダーを頂点とし、リーダーから見てより信頼出来るものが上位であることが望ましい。この場合、犬生経験の豊富な先住犬の「アリス」の方がふさわしいと判断するのが自然であり、そう判断した群れのリーダーである僕が、権威争いに介入することは問題にはならない。っていうより、この場合は介入は必要だと判断した。

IMG_1100 秋田犬を引き取って丸 3ヶ月が過ぎた頃、合計で 2度ほど流血騒ぎの喧嘩なり、一方的に「アリス」が傷つけられた。当然、それを目撃したリーダーである僕は、秋田犬に暴力を振るった。秋田犬の横っ面を、体が吹っ飛ぶくらいに平手で張り飛ばしたのである。
(当然、僕の手も痛かったのだが…)
 もし、ここで飼主である自分が介入しなかったら、先住犬の「アリス」は同居する秋田犬との権力争いに負けたこととなる。同居を続ける限り常に怯え続けることになり、地位を追われた不満を抱えることになる。そのストレスにより重大な問題行動を引き起こした可能性もあるのだ。
 我が家の場合、僕が気をつけていなければならなかったのは「要」となる先住犬「アリス」の精神的な安定が何よりも重要であると認識していたので、最初の内は特に気を配っていた。

 その後の、二匹の安定した関係を見ていると結果的に、この権威争いに僕が介入して正解であったと思う。

 時間をかけずに、その場で手っ取り早く問題を収束させるには、時に力が有効な解決策である場合も確かにある。事が「権威争い」の場合は、特にそうである。相手が子供であれば、理屈ではなく簡単に力に納得し服従する時期がある。
 未熟であるが故に、己の「力」を過信し反抗している子供に対しては、大人の方も「力」を見せて服従させる方が効果的である。もし、ここで大人の対応をして時間をかけてしまうと、時に問題をこじらせ取り返しのつかなくなる危険性があり、できるだけ早急に問題を収束させる必要があると考えている。

 僕との信頼関係という絆の強さから、あくまでも先住犬である「アリス」が何事にも優先であり続けた。その上で「アリス」の精神が安定していれば、常に「アリス」は秋田犬に余裕を持った態度で接することが出来ていた。
 知らない人や車が通る度に怯える経験値の不足していた秋田犬にとって、常に余裕のある態度で鷹揚に構えている「アリス」の態度は、非情に頼もしく安心できるものであったに違いない。

 犬の精神は「えこ贔屓」であることで安定する。人の安易な平等意識は、フラフラと決まらない不安定さを増大させる傾向にある。片方の犬だけに比重を置く事は、彼らの精神的な安定のためには、とても有効な手段であり効果的でもある。
 そうは言っても現実問題として、食餌の量は大型犬である秋田犬の方が当然ながら多いし、オヤツの回数は同じかアリスの方が 1回多くても、微妙ではあるが秋田犬の方が量が多い。

 最近でこそ「アリス」もスリムな体型に戻りつつあるが、引き取りをきめた 3年前の当時は子育てが終わった後に行った避妊手術の影響で太りすぎたため、ダイエットのため食餌の量を制限していたから、端から見ても明らかに量が極端に違っていた。
 しかし、そこら辺は糞便のチェックで体調には常に気を使っていた部分でもあり、また食べ終わる時間が同じ位であったから、権威問題が発生している期間以外で 2頭の間で、それが原因で喧嘩になることはなかった。その上で「アリス」の方が大人の対応をしていたため、幸を奏していたという事実もある。

 いろいろな意味でも「アリス」のお陰で、秋田犬が、我が家という群れの中では「小町」という名前で呼ぶと反応するようになり、近所の方々からも可愛がってもらえる犬として人社会に受け入れられた。
 僕がしてきた事は「群れを率いるリーダー」として一貫した行動を取っただけであり、本当の功労者は、数々の場面で「小町」に付き合い指導してきた「アリス」様々だったんだなと改めて思う。

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