大好きだった筆記用具

 先日久しぶりに手に入れた PRESS MANで思い出した、もう二度と手に入らない「超お気に入り」の筆記用具。
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 僕の手元には 30年以上も前にトンボ社が出していた製図用ペン PROGRAPH 0.1mm用がある。最近は手書き清書する機会が少ないから、あまり使っていはいないけれど、これらは主に僕が学生の頃、卒論を清書する時に使っていた品だ。

 当時、有名なロットリング・イソグラフというドイツ製の製図ペンに比べると、かなり安かったから何本か買っていた。イソグラフは今でも販売されているけれど、こちらは、とっくの昔に製造中止になっている。
 黒い方が初代 PROGRAPH 0.1mmで、白い方は改良型 PROGRAPH SX 0.1mm。補充インクは SX用の顔料インクだけが、かろうじて手元に残っている。ペン先のスペアもあるので、もう暫くの間は現役品として使える予定。

IMG_2145 黒の 2本は学生の頃に生協で購入した品で、既に 30年以上が経ち、白かった部分も黄色に変色し、取り外す際に付けた歯形が残っている。確か発売されたばかりで、店内で新製品のポップを見て購入したんだった。
 コノ頃の僕は、入学祝いに買ってもらった万年筆の使い方を誤って筆圧で駄目にし、既に何本めかのペンも潰していた。で、この製品と出会って凄く気に入り、数本まとめて購入し普段使いとして日常的に使っていたんだ。
 白い方は、父が直接トンボ社に手紙を書いて製造終了後にトンボ社に残っていた在庫から手に入れたという、おそらくは最終ロットの品。これも既に 10年以上も前の製品である。(もしかしたら 15年以上も前かも…)
 学生の頃、父に「自分が使い易かったから」と言う理由で 1セット分をプレゼントしていた。数年後、もう製品が手に入らないという事が判った時、その時の品代わりだと言って未使用品 1セットを父が譲ってくれたのだ。

 父は僕以上に、この筆記用具を凄く気に入っており、ほとんど毎日の様に使っていたらしい。補充インクやペン先が田舎ではなかなか手に入らず、文房具を専門に扱っている店に頼み込んで取り寄せてもらった事もあると言う。
 とうとう店にも流通にも在庫が無くなって手に入らなくなったけど、どうしても諦めきれなくトンボ社に直接、なんとかして手に入らないだろうかと手紙を書いたんだそうな。それに対してトンボ社からは、既に生産を終了している旨の丁寧なお詫びの文書と、社内に残っていた品ですってコトでスペアインクと共に 2セット送られて来たと言っていた。

 以前に、ちょっと調味が湧いてネット上で調べてみたら、復刻を願う人がトンボ社に直訴したらしい。トンボ社でも希望者が根強いので復刻しようかという話が持ち上がって社内で調査した所、金型/等が既に処分されていて使えなくなっていた、とのこと。
 改めて金型から作る事になると復刻じゃなく、新規に製品を作る以上のコストが掛かってしまうと言う事で、残念ながら企画は流れたという旨が記されていた。

 だったら今から新製品として、昔と同じコンセプトで作って欲しいんだけどねぇ… って思うんだけど、まぁ…昔の様には売れないだろうから無理も無いか。
 今の CAD/CAMの時代に、手書きで図面を引くような設計事務所なんて無いだろうし、そもそも今や学生だって製図なんてしないわなぁ…

IMG_2149 元が製図用のペンだったので、ペン先が 0.1, 0.2, 0.3, 0.4, 0.5, 0.6, 0.8の 7種類の太さがあった。改良版 SXではペン先に 0.0が追加された。(0.01mmペン先のこと)
 初期型は染料インクだったのを SXで顔料インクに変え耐水性/耐光性を改善し、より黒が濃くなったということらしい。(外箱の説明文による)
 黒ボディの方は補充インクも無くなった時点で処分すべきだったんだけど、なかなか捨てられずにいたんだ。

 ちょっと前まで、インクの変わりに水を含ませて使えていたってのもあるんだけど。流石に、もう無理みたい…
つい最近まで初代型の赤インク専用ペンも使っていたけれど、こちらは補充インクを持っていなかったので書けなくなった時点で処分してしまった。
 考えてみりゃ、最初に添付されていた小さな補充インクだけで随分と長い事もってたものだねぇ。そりゃ確かに「赤ペン」なんて採点する学校の先生でも無い限りそうそう使う物でもないとは言え、もしボールペンなんかだったら数ヶ月使わなかっただけでもペン先がカゼ引いて、とっくの昔に使えなくなってるよ。

IMG_2156 今の時代、インク補充式、ペン先交換式なんて、面倒くさくて売れないんだろうなぁ。当時もペン先を不用意に交換して自分で軸を曲げて取れなくしたのに、設計が悪いと逆恨みしてメーカに文句を言ってくる人も居たらしいし、そういう顧客対応も面倒だったのかもしれない。
 そういった意味では、構造を理解している人が細心の注意をして扱わなきゃいけない製品だし、誰にでも全く同じ様に使えるようにする為には、やはり無理があるかな…

 確かに、本当に良い物が売れるとは限らない。ってか、元々売れ続ける製品じゃない。製品コンセプトからして、インクやペン先のスペア品しか売れないもの。その上、使い手を選ぶんじゃ会社としては作っても儲からないから、真っ先に廃番商品になってしまうんだろうね。
 企業努力の結果、製品を購入した全ての人が等しく同じ使用感が得られる様に、手間のかから無い様な使い捨ての製品ばかりになってしまう。使用者が望んでこうなっているわけなんだから、そういった意味では使用者は自ら進んで、ますます「馬鹿」になっていくんだろうなぁ。

 文字だけじゃなく、線画イラスト描いたりするのに本当に便利だったのよ。僕は、もっぱら悪戯描きだったけど。別に製図用じゃなく筆記用具として 0.1mmだけでもいいからさ。ペン本体なんて、そうそう壊れるわけじゃないし、現に僕の手元には 30年も前の製品でプラスチックが割れないで残っているんだから、これこそ「もったいない精神」の形が具現化している品なんだけどね。
 今こうして改めて考えてみるとバブル以前の日本製品って、こんな文房具に限らず電化製品や全ての製品において壊れずに使えるって言う耐用年数ってのが異常とも思えるくらいに長かったんだねぇ。それなのに、一体どこで進む道を間違えたんだか…

 今再び、せめてコノ製品だけでも新製品として新しいコンセプトの下で発売してくれないだろうか、なんて諦めきれずに思うわけだけど…

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