インターステラ―

 今年最後の「映画の日」は「インターステラー」を観て来ました。上映時間は 3時間近くにも及び、かなりの大作だったような気がします。worm 例によって、これ以降は映画のネタバレを多量に含んでいますので、申し訳ありませんが記事閲覧は、自己責任でお願いいたします。m(_ _)m

 一言で言えば「面白かった」ですよ。少なくとも僕はそう思いました。コマーシャルを含めて 3時間もの長丁場、それを感じさせませんでしたから、中々見ごたえのある映像だったのではないでしょうか。お世辞にも分かり易いとは言えませんでしたので、好き嫌いがはっきり分かれそうな映画でしたね。
 難しい理論とかの説明は一切無し。そんなものは全部省いちゃっていますから「なんで」とか「どうして」とか言うのは知ってて当然って感じですか、ね。

 日本の普通程度のアニメファンなら大まかには理解できるのでしょうけれど、ある程度 SFに詳しくないとバックボーンが理解できないんじゃなかろうか、なんて余計な心配をしてしまいました。
 僕が思うに家族連れや恋愛向けの映画じゃあ無いことは確かです。確かにそう言った要素は入ってましたけれど、大ヒットはちょっと難しい…かもねぇ。

IMG_0831 根底には父と娘の「家族愛」ですかね。最終的に、それが「自己犠牲」に因る「人類愛」にまで昇華されますけれど、元に在るのは家族への深い愛情、対する自己生存欲との葛藤とでもいうのでしょうか、それらも根っこは同じですけれど。彼らの貪欲なまでの保身、大義の元での人の弱さと脆さと滑稽な自己矛盾。それが縦糸。
 横糸はガチンコな惑星間ならぬ恒星間を飛びこえる宇宙冒険旅行。ブラックホールに代表される重力と時間の歪みを視覚的に如何に見せるかに、かなり努力されているようにも感じました。

 そういった意味では、映像的な素晴らしさには舌を巻くものがありましたが、なぜそう見えるのか、とか、かなり理論的に詰めてシミュレーションしたそうです。
 一方で科学技術を捨て去り、宇宙開発までも無かったことにしてしまう意図的な政策。それにより兄弟間でさえも医療を魔術か祈りとまで言い切ってしまうほど、科学技術や医療技術に対する意識の後退、考え方の相違、使わなくなった時点から、わずかな期間で起こりえる意識と技術の廃退。人は自分に理解できる範囲内で都合の良い理屈に満足してしまうという、そら恐ろしさも見せてくれた。

IMG_0833 さてさて地球を飛び立って来てみたは良いけれど、移住可能と地球に届いた 3つの信号を元にたどり着いた先は、およそ人類の生存には適さない過酷な環境でした。

IMG_0832 水だけの惑星だったり、雲さえも凍りつくような極寒の惑星だったり、科学者の反逆とか想定外のことばかり。
 片や、地球でも計算式の答えは出ていたのに隠蔽していたり人類の未来など最初から無かったかのように絶望させる場面を挟み、父親はブラックホールの中に落ちて逝きます。

 勿論ハリウッド映画のハッピーエンドはお約束ですから当然しっかり守られています。父親は無事に助け出され、娘との約束も果たせます。
 そこら辺は今回に限って言えば何時もの「ご都合主義」では無く「意図的に仕組まれた」事として、ちゃんと説明が着く様になっています。
 そりゃあ多少の強引さは否めませんが、それでも物語の中で不自然では無い程度に、きちんと落とし所に持ってきていました。突拍子では無いように会話の中で、さらりと説明していましたし、ね。

 もっとも一番最初に「ラザロ計画」とか言って、一度死んで後で生き返る、つまり「父親は死んじゃいない」って意図的にネタバレしていたんだよって事で、後から考えると色んな所にネタを仕込んでいたんだなぁって思います。
 補足しておくと「父親は事象の地平面の向こう側に落ちた」ワケじゃなく「裸の特異点を超光速度で突っ切った」だけという具合でしょうか。

 それにしても、この監督さん。前作のインセプションでは、夢の中では時間の進み方が違うって言ったり、今作ではブラックホール付近では時間の進み方が違うっていうのを利用していたり、何やら「時間」て言うものに、ものすごく拘りがあるようですねぇ。

 下記は、作中で繰り返し引用されていた「ディラン・トマス」の詩の朗読、全文と対訳

Dylan Thomas reads “Do Not Go Gentle Into That Good Night”

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    Do Not Go Gentle Into That Good Night
                          Dylan Thomas

Do not go gentle into that good night,
Old age should burn and rave at close of day;
Rage, rage against the dying of the light.

Though wise men at their end know dark is right,
Because their words have forked no lightning they
Do not go gentle into that good night.

Good men, the last wave by, crying how bright
Their frail deeds might have danced in a green bay,
Rage, rage against the dying of the light.

Wild men who caught and sang the sun in flight,
And learn, too late, they grieved it on its way,
Do not go gentle into that good night.

Grave men, near death, who see with blinding sight
Blind eyes could blaze like meteors and be gay,
Rage, rage against the dying of the light.

And you, my father, there on that sad height,
Curse, bless me now with your fierce tears, I pray.
Do not go gentle into that good night.
Rage, rage against the dying of the light.
 
 
 あの快い夜のなかへおとなしく流されてはいけない
                           ディラン・トマス
                           鈴木洋美 訳 

あの快い夜のなかへおとなしく流されてはいけない
老齢は日暮れに 燃えさかり荒れ狂うべきだ
死に絶えゆく光に向かって 憤怒せよ 憤怒せよ

賢人は死に臨んで 闇こそ正当であると知りながら
彼らの言葉が稲妻を 二分することはなかったから 彼らは
あの快い夜のなかへおとなしく流されていきはしない

彼らのはかない行いが緑なす入江で どれほど明るく踊ったかも知れぬと
最後の波ぎわで 叫んでいる善人たちよ
死に絶えゆく光に向かって 憤怒せよ 憤怒せよ

天翔ける太陽をとらえて歌い
その巡る途中の太陽を悲しませただけだと 遅すぎて悟る 気性の荒い人たちよ
あの快い夜のなかへおとなしく流されてはいけない

盲目の目が流星のように燃え立ち明るくあり得たことを
見えなくなりつつある目でみる いまわのきわの まじめな人たちよ
死に絶えゆく光に向かって 憤怒せよ 憤怒せよ

そしてあなた ぼくの父よ その悲しみの絶頂で
どうかいま あなたの激しい涙で ぼくを呪い祝福してください
あの快い夜のなかへおとなしく流されてはいけない
死に絶えゆく光に向かって 憤怒せよ 憤怒せよ

※松浦暢編『映画で英詩入門』(平凡社、2004)より

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One Response to インターステラ―

  1. ピンバック: 火星の人 | 僕と犬とMacと

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