ベイマックス

 今月の「映画の日」は「ベイマックス」を観て来ました。子供向け映画のためか日曜日の朝一の上映は家族連れで大混雑。幸い、大声で騒ぎ立てる様な子供はいなかったので助かりましたが。(^-^) 例によって、これ以降は映画のネタバレを多量に含んでいますので、申し訳ありませんが記事閲覧は、自己責任でお願いいたします。m(_ _)m

 原作は「BIG HERO 6」原題は「HEROS」との事で、最近のディズニー映画の例にもれず、こちらも邦題は変更されています。今回もそれは「大当たり」だと思う。
 特に「人を傷つけてはならない」と言う古典的な「ロボット三原則」を持ち出す訳でもなく、それでいて人を傷つける事が出来ない強いヒーローの正体は人の体と心を守るケアロボットってアイディアが素晴らしい。
 最近、自分の中で物語が作れなくなってきた原因である「もはや正義では何も解決しない」というヒーロー者に対するジレンマへの一つの回答だと思った程です。
 特に増えてきた様に感じる「他者への強反発」と他者に対する自身の「短絡的な力による価値観の強制」がテロという暴力の原因にもなっている気がするのです。

 そういった意味では、互いに「己の正義」を振りかざすだけで相手の意見を聞くとか話合って歩み寄る努力/等、無いに等しいから他者からの共感を得られる事は無い。
 価値観の異なる者同士でが、目障りである相手を滅ぼすしか他に方法を見出せないなら、結局ハルマゲドンの様な戦いで最終決着を着ける事にしかならない。
 それは成人が「未熟者の土俵」に自ら堕ちて争っているだけの様な気がしてならないのです。

 それが、この映画では真逆。大人同士の憎しみの争いの中に、同じ肉親を失った悲しみを背負った少年が分入って収めてしまう物語。最初こそ同じ過ちを犯しかけたけど、それでは何も解決はしない事に主人公の少年は気づく。
 亡き兄の本当の願いは何だったのか。形見のロボット「ベイマック」が作られた本当の意味、自分が行うべき事は何なのかを自らに問いかけ、答えを見出し、再び立ち上がる物語。

 もし日本社会がテロ行為に「自衛権」という言葉で包んでみても「暴力に対して暴力で応え」てしまっては何も解決しないだろう。だからと言って暴力に屈しても解決にはならないが、暴力に対し暴力で応えるのでは子供の喧嘩に大の大人が力任せに介入するのと何ら変わりがない。
 もちろん誤りは正されなければならないけれど、その「正しさ」は、片方だけの理論で「正しさ」を証明しても意味がない。相手の理論でも同じ様に「正しく」なければ一方的な正義の下で繰り返されてきた暴力による負の連鎖を断ち切ることはできない。

 言葉を変えてみれば、今の国際情勢の混乱は「人社会が新しい理念へ昇華するための生みの苦しみ」の様な気がしないでもない。僕には、日本人記者が殺害された最中に、この映画が日本国内で他国に遅れて公開されたのは何かの符丁の様な気がしてならない。
 重要なのは「大切な人を殺されたから仇討ちをする」事ではない。誤解を恐れずに言ってしまえば「志半ばで命を失った」のは何も殺された方だけでは無い。不審者に刺された小学生も、交通事故で亡くなった方も皆んな同じだ。その中には誰にも知られることも注目されることもなく、ひっそりと亡くなった方もいるだろう。

 一概には言えないけれど、例えば亡くした人の意志を継ぎ「彼らの望みと共に自らの望みに変え、より良い新しい社会に変えてゆく」事ではないのだろうか。テロは、単に「世間の注目を集めたい」ためだけに残虐な行動をしているだけだから、過去からの例を紐解く必要もなく暴力や恐怖では人々の賛同や同意は得られない。いずれ我が身を滅ぼす、それも時間の問題だ。
 他にも「鋼の錬金術師」や「からくりサーカス」等の命を軸とした漫画作品の例にもあるように、日本人が過去から伝え聞かされてきた死生観や倫理観は、過去世界中から情報や知識の集大成でもある。このような作品を子供の頃から読んでて、それらを訳知らずに染み込ませているであろう少年少女たちの作り出す世界が、先人の誤りを訂正する形で成熟してくれるのを願う。

 誤ちを犯した者には償いをさせなければならないが、それは決して、彼らの「命を以てお詫び」させる事では無いと思う。残された者同士が互いに、本当の意味で相互に理解しあい、助け合い、新しい時代を切り開く、それを彼らの命に代えても作り上げる事に助力させる事、それこそが亡くなった者の願いを叶え、本当の意味での彼らの供養になり、彼らの死が無駄では無かったことになるのではないのだろうか。決して、単に彼らを牢獄に入れて飼殺しにして、無駄に技能を腐らせる事では無いと思う。
 そんな事を考えさせられた「ヒーロー戦隊」映画だったような気がする。これは来るべき新しい時代に向け願いをかけた「新しいヒーロー誕生」の物語だったのだ。

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