猫の帰巣本能

 もちろん猫にも帰巣本能はある。確かに犬より多少は劣る様だけど。それは単に移動における範囲面積に関係しているだけらしい、とも考えられる。
 4月 14日の日曜日、折からの天気予報では「1日中激しい雨になる」話だったけれど、何とか持ってくれたお陰で午前中にプチ・ドッグランを開催できた。

 最初は平気で他の犬と一緒にサークル内に居たスミレだが、小学 1年生の女の子に反応して金網の隙間から外へ逃げ出し、一旦は確保できたが、リードを付けようとした隙にまた逃げ出し、何人かで手分けして探したが雨も降り始めて、結局その日は行方不明となってしまった。

 翌朝、いつもより少し早めに起き、スミレを捜しに行こうと飼犬と共に家を出たところ、自宅前のアパートの駐車場に停めてある他所様の車の下に、何とも普通の顔をしたスミレがちょこんと座っていた。
 慌てて捕まえようとすると、いつもの様に怒られる事を恐れている感じでスルスルと逃げる。わざとリードを見せつける様にしたら、さも仕方無さそうに立ち止まり、いつもの朝の様に「一緒の散歩」を済ませた。
 その様子は、あたかも窓の隙間から脱走して一晩中遊び、普通に朝帰りしてきたかの様子と同じだった。

 これまでも何度か飼犬と一緒の散歩で歩いた事があるとは言え、直線距離にして家までは約 1km。散歩コース的には 1.5kmくらいか。
 途中には車通りの激しい道路もあって、つい先日も少し大きくなったイノシシの子供が撥ねられたとか。たまにイタチ等の小動物が轢かれている事もある。
 そんな所を怪我もせず、無事に自分の脚だけで半日で帰り着いている。一般的な雌猫の行動範囲 100m四方からしたら約 10倍の距離に相当するんだけど、ね。

 人だって初めて行った街や場所で、道に迷う事がある。僕の知っている人の中でも「地図があっても方向がわからない」と嘆く人が多いのも事実。
 どうも僕と父、それに叔父や一部の従兄弟達にも、生まれながらに備わっている「漠然と正しい方角が判断できる」感覚と言うのは、今の世では「原始の血を色濃く残す特殊能力」の一つと言う事らしい。

 おかげで日本国内であれば、初めての場所であっても地図さえあれば携帯に GPSやナビ機能が無くとも目的地にたどり着くことが出来る。仮に途中で道に迷っても正しい方角が判るので、落ち着きさえすれば地図上で自身の記憶を頼りに居場所を特定する事ができる。
 道に迷っても地図上で移動をシミュレーションできるし、判らなければ知ってそうな人に尋ねるのだって気後れはしない。後から地図を見ながら「あの道からこの道を通れば近道ができる」とか、色々と思い返してニヤニヤしていたりすると「地図を見てるだけで楽しいなんて変わった趣味だ」と笑われる事もある。

 人間である僕にさえ頭の中で、ある程度は位置関係を知る能力があるくらいだから、我が家の飼犬の「アリスと小町」や飼猫である「すみれ」にも「正しい方角を判断できる能力」が備わっているだろう事は容易に想像できる。
 しかし仮に正しい方角が分かったとしても、自分の現在位置と、さらには戻るべき場所への方向を知る能力は、また別の能力である。

 それに「帰巣本能」があるとは言え「人の住む家に帰り着く」のは本能だけではできない。自身の記憶を元に進むべき道を決める判断力も必要となるし、よっぽど何か気に入ってる事がなければ「人の住む家に戻ろう」なんて考えたりしないだろう。

 野良を己の力のみで生き抜いた経験を持つスミレにとって「毎日きちんと食事ができる」と言うだけでも大きな理由かもしれないが、これからの季節であれば虫やトカゲを獲って十分生きていけるのだから、数日間は自由に遊んでから家に戻っても良かった筈である。なにせ以前には。一週間も戻ってこなかった事もある脱走の常習犯なのだから。

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