放蕩娘のご帰還

 正確には、ちゃんと家まで戻ってきたわけじゃないけれど。日曜日の朝、いつもの様に週末ブログに記事をアップした後で散歩中に出た際、しれっと戻って来たって訳である。
 月曜日の朝、散歩中に遁走して、遁走した姿のままで幸い怪我もなく、泥に汚れていたけれど青いリードも着けた状態だった。何にせよ無事で良かったな。
 過ぎてみれば、たった 1週間。下手すりゃ 1ヶ月かそこら戻ってこないんじゃなかろうかと考えていたから、短くて良かったと思う反面「心配させてからにぃ」という安心と怒りの入り混じった複雑な心境。

 何を食って過ごしていたかは知らないけれど、大して痩せてもいない。人から抱かれてた時も「気持ち軽くなった気もしないでもない」なんて言われながら、アリスの様に畑に埋めた残飯を食べて腹をパンパンにさせて戻ってきた訳でも無いので少し拍子抜け。
 もしかしたら今の様に大型の台風が近づいてなかったら、しばらく戻ってくる気では無かったのかもしれない。

 朝の散歩中、コース途中にある近所の畑の中で僕らの通るのを待ち伏せしていたらしく、僕らが気づかずに前を通り過ぎた時にスミレが突然に鳴き出したので姿を見付ける事が出来た。
 体は自分で舐めて綺麗にしていたようで、あまり汚れてもいない。濡れてもいなかったので、適当な所に潜り込んで雨宿りをしていたのだろう。
 台風が上陸して雨や風が酷く激しくなる前にスミレを家の中に避難させることが出来たので一安心である。

 台風接近に備える 6日の朝。午前 8時を少し過ぎた頃、避難勧告が出たため「がけ崩れの恐れがあるため付近の人は避難してください」の広報車が家の周りを回っていたが風に声が流されてよく聞こえない。
 それまで、ずっと強かった風が少しおさまり雨が小降りになっていたので外に出てみたが、そうだ今のうちに散歩を済ませておこうと思い立ち 2頭の飼犬と外に出て、いつもなら「朝コース」を回るが、雨降りの場合は散歩が出来ないので、朝昼兼用の「昼コース」に歩を進めた。

 スミレが身を潜めて居たのは、朝の散歩コース、昼の散歩コースのどちらでも必ず通る、近所の家庭菜園の中。
 真直ぐ家に戻らず身を潜めて僕らが通るのを待ち伏せしてたのに、反対側から通ったので近くを通り過ぎた時は見てなかった様子。
 通り過ぎた時に慌てて鳴き出した様で、僕が名を呼ぶと隠れる様に体を縮めるけど逃げようとはしなかった。
 途中まで散歩を続け 2頭いる飼犬のトイレを済ませた後、近所の心配してくれてた家に挨拶に行った。
 雨が小降りのうちにと出てきた犬友達にも挨拶をして、別の心配してくれていた人へ電話を入れてスミレが戻ってきたことを伝えた。
「 1週間も一体どうやって過ごしてたんだろうね」という疑問を抱きながらも、皆様一様に戻って来た事を喜んでくれた。

 これほど近所の皆様方にまで心配され愛されてる猫って、今の日本国内にはきっと居ないだろうなぁ…

2 Responses to 放蕩娘のご帰還

  1. メロママ says:

    スミレちゃん、お帰りですね〜ですね〜

    探検に、行きたかったのかな(笑)

    • tatckun says:

      メロママ ご心配いただき、ありがとうございます。

      さすがに 3日過ぎた時点で半分あきらめてましたけれど、ね〜

      アリスは居るのも居ないのも、そもそも気にしてない様子でして
      おそらくアリス自身も脱走癖のある「おてんば娘」だったからと思われ。

      最初は気づいてない様子の小町が 3日目にして、スミレが居なくなった事に
      気がついて、ズドンと気落ちしてて金土でようやく復活したと思ったら、
      日曜日に戻ったスミレに自分の寝床を取られて困った顔してて

      スミレはスミレで「私どこにも行ってませんけど」みたいな顔してて
      まるで飼主を含め、近所隣の人間だけがあたふたしていた様です。

      一体、スミレが何処ら辺を彷徨いていたのかは謎のままですが、
      そもそもネコを犬みたいに繋いでるのがよく無いとかまで言われたりして
      自由にさせておくのも一興かも知れないと、半分だけ思ってみたり。
      しませんけど、ね。そんな事。

      猫としての自覚のある猫が、犬の様に暮らすのも、また一興と思いつつ。
      今日は、まるで緊張の糸がブッツリと切れ、野生を何処かへ落とした様に
      全く無防備な姿で玄関先で寝てました。

      どうやら、やっぱり僕が 2頭の犬と 1頭の猫を飼ってるのではなく
      彼らが僕を保護者に選んだだけの様な気がします。

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